発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010155705
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大腿骨近位部骨折(転子部骨折・頸部骨折)63例を対象に下肢末梢神経ブロック(PNB)を施行し、その有用性を脊椎麻酔法(SA)と比較検討した。63例のうちPNBは46例、SAは17例で、術式はGamma nail+proximal femoral nail anti-rotation(PFNA)27例、compression hip screw(CHS)14例、人工骨頭挿入術22例であった。麻酔手技開始から執刀開始までの平均時間はPNBが54.2分、SAが36.8分と有意差を認めた。手術時間、人工頭挿入術、出血量、血圧変動、術後の鎮痛薬使用回数に有意差はなかった。鎮痛薬初回投与時期はPNBが術後平均9時間、SAが約6時間、術翌日までの鎮痛薬使用回数は各々平均1.75回、2.0回で、いずれにも有意差はないが鎮痛効果の長さ・高さはPNBの方が良好であった。合併症は、抗凝固薬内服患者をPNBで6例、SAで2例認めたが、共に巨大血腫・硬膜外血腫、薬量過多による痙攀、意識消失、循環不全などの合併症は認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010