発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017342237
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73歳女。発熱を主訴とした。胃癌術後の残胃再発に対して残胃全摘術を受けており、残胃癌術後約10ヵ月より歩行困難感・左臀部疼痛が出現したが、保存的に観察されていた。40℃の発熱と左頸部の自発痛にて救急搬送され、造影CTでは左頸筋・左臀筋の腫脹と不均一な造影効果を認め、PET-CTでは左頸筋・左臀筋にFDGの集積がみられた。抗生物質投与により熱型・炎症改善を認めたが、CTガイド下筋生検で左頸筋・左臀筋に豊富な線維増生を伴うsignet ring cell carcinomaの増殖を認め、残胃癌筋転移の診断で化学療法を開始した。もともとの全身状態が悪く、化学療法を長期間継続できなかったが、短期投与でも疼痛などの筋症状は著明に改善し、生活の質の向上につながった。骨格筋転移の多くは予後不良であるが、症状改善を目的とした治療は積極的に考慮すべきと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2017