発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012013949
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58歳男。感冒症状で近医に受診し、胃角部と幽門前庭部に2型の胃癌を指摘され紹介となった。CEAのみ上昇、内視鏡で胃角部は中分化型腺癌、幽門前庭部は高分化型腺癌と診断された。胸腹部CTでは、腹水や播種を疑う結節、胃壁の肥厚は認めず、左胃動脈近傍にリンパ節、肝S6、S8、S3に腫瘤影を認め、PETでは胃前庭部に高集積、肝に集積を認め、同時性肝転移を有する進行癌と診断した。多発肝転移を有するためS-1/cisplatine併用化学療法を行い、2コ-ス終了時にCEAは陰性化、4コース終了後のCTで肝転移は消失し、5コース終了後にS-1単剤を4週間投与した。PETで胃壁のみに取り込みを認め、内視鏡で胃病変は瘢痕化し、生検でも癌細胞は認めず、腹腔鏡下に幽門側胃切除・D1+β・BillrothI法再建術を施行した。術後に縫合不全を生じて小開腹創直下に膿瘍形成を認めドレナージ術を行った。胃病変は瘢痕化し胃角部の病変の粘膜層に異型細胞を認めたが、摘出リンパ節に転移はなく、治療開始後21ヵ月現在、新たな病巣は認めていない。
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