発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009234145
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64歳男。患者は2004年に胃癌で幽門側胃切除が行なわれた。病変は2ヶ所に存在しており、共に早期癌であった。術後はdocetaxel、TS-1等による化学療法行い、2007年8月までは上部消化管内視鏡検査で異常を認めなかった。しかし、同年9月、右大腿部内側の疼痛と便秘が出現し、徐々にこれが増悪、著者らの施設へ精査入院となった。所見では大腿径に左右差が認められ、特に右側は著明に腫脹しており、筋肉全体が硬化して圧痛がみられた。また、皮膚には結節や色調の変化は認められなかったが、一方で腫瘍マーカーの上昇がみられ、画像所見により胃癌再発による癌性腹膜炎、腸閉塞腹膜播種、右大腿部への筋肉播種、転移と診断された。治療としてdocetaxel+TS-1の再投与が行なわれたが、徐々に腸閉塞症状が進行したためTS-1内服は中止し、docetaxel 60mg/bodyを2週間ごとの静注のみとした。現在は経過観察中であるが、本症例のように胃癌が筋肉内への播種を来した報告は、検索した限り、腹直筋播種を起こした進行スキルス胃癌の2例のみであった。
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