発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013197267
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72歳男。下腹部痛を主訴とした。急性胃腸炎に対する入院加療後、退院前スクリーニングとして大腸内視鏡検査を行ったところ、直腸に深い憩室を認め腹痛を訴えた。検査を中止したが、その後も下腹部痛の増強と発熱がみられ、外科紹介時には下腹部全体に著明な自発痛と筋性防御を認め、右側の頸部と胸部に捻髪音を聴取した。腹部CT所見では広範囲の後腹膜気腫、縦隔気腫、皮下気腫を認め、直腸憩室穿孔による腹膜炎と診断して緊急手術を行ったところ、上部直腸に約1.5cmの穿孔部があり、穿孔から手術まで約20時間が経過していたものの腹腔内の汚染は軽度であった。Hartmann手術を選択して直腸切除を行い、病理組織学的所見では高度好中球浸潤を伴った穿孔性潰瘍を合併する直腸憩室を認めた。術後は経過良好であり、数日後に皮下気腫は消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013