発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010155754
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57歳男。右下腹部痛を主訴とした。入院時、右下腹部のMcBurney点およびLanz点に圧痛があり、筋性防御も認め、検査所見で高度炎症所見を、腹部CTで回盲部周囲の脂肪織の濃度上昇、air像を含んだ腹水貯留、虫垂の腫大、虫垂周囲に4cm大の腫瘍、上行結腸に多数の憩室を認めた。以上より、急性虫垂炎、腹腔内膿瘍と術前診断して緊急手術を施行した。傍腹直筋切開にて開腹し、腹腔内を検索したところ、回盲部周囲に膿瘍形成を認めた。虫垂は全周性に腫大し、その周囲に膿苔を認めた。膿汁の培養では嫌気性菌の混合感染(大腸菌、Klebsiella)を認めた。回盲部切除および膿瘍ドレナージを施行し、摘出標本の病理組織所見にて虫垂憩室症の憩室炎と診断した。憩室は固有筋層を欠き仮性憩室で、一部では憩室底が確認できず、先端に好中球浸潤を認めたため穿孔と判断した。
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