発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003005155
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43歳女.1994年婦人科で子宮筋腫と卵管留膿腫と診断され抗生物質投与にて軽快した.1996年肛門周囲に排膿を認め痔瘻の診断で2回手術をうけるも軽快しなかった.1998年腹痛,悪心,嘔吐が出現し,両側の水腎症を認め泌尿器科にて両側尿管ステント留置後,当科入院となった.注腸検査で直腸は全く膨らまず,narrow segmentを呈していた.大腸内視鏡所見で,S状結腸に発赤・狭窄・周囲組織との固着を認めたが粘膜面には潰瘍形成は認めなかった.瘻孔造影所見でDouglas窩の膿瘍腔への造影剤の貯留がみられた.食事制限・中心静脈栄養管理で,瘻孔からの膿汁排泄は著明に減少した.以上より小腸穿孔によるDouglas窩膿瘍と診断し手術を施行した.肛門周囲6時と11時の瘻孔よりネラトンを挿入したところ,共に膿瘍腔と交通しており,ネラトンを留置し,S状結腸にループ式人工肛門を作製した.経過は順調で人工肛門閉鎖術を施行し,尿管狭窄も改善しステントを抜去した
©Nankodo Co., Ltd., 2002