発行日 2009年12月1日
Published Date 2009/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010055260
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80歳男。発熱、下腹部痛、下痢を主訴とした。心筋梗塞、冠動脈2枝病変に対するバイパス手術、慢性腎不全、慢性心不全、脳梗塞、右下肢末梢動脈閉塞症、右足小趾血流不全のため切断術などの既往歴がある。また、2003年にS状結腸多発憩室を指摘された。腹部CT所見にて、肝後面の後腹膜気腫像が下方でS状結腸と連続しており、S状結腸の腸間膜側穿孔と診断した。既往歴より保存的加療を行うこととし、入院後に絶食、補液、cefozopran hydrochloride(CZOP)投与を行い、CZOPは10病日目に終了した。8病日に大腸内視鏡を行いS状結腸に潰瘍を認め、meglumine sodium amidotrizoateを散布した。潰瘍近傍に多発憩室を認め、憩室炎の増悪から潰瘍が形成されたと推察した。術後経過は良好で、術後120病日目の大腸内視鏡検査では潰瘍を認めなかった。なお、腸間膜側の憩室の穿孔は稀で、保存的治療により自然治癒した例は極めて稀である。
©Nankodo Co., Ltd., 2009