発行日 2002年12月1日
Published Date 2002/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003141072
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57歳女.腹痛,嘔吐,下血を主訴とした.入院時検査,胸部単純X線,腹部単純X線,胸腹部CT各所見で腹腔内遊離ガス,後腹膜,縦隔,皮下気腫を認め,下部結腸憩室炎による穿孔を疑った.絶飲食とし,中心静脈栄養管理と抗生物質投与による1週間の保存的治療を行った結果,炎症所見の消退と気腫像の消失を認めたが,約2週間後より下腹部に無痛性の腫瘤を触知するようになった.内視鏡検査の結果,S状結腸腸間膜側に膿苔の付着する易出血性の憩室を認め,限局性に肥厚・硬化し癒着した部位を中心に部分切除と一期的吻合術を行った.切除標本は穿孔と深い潰瘍を認めた.術後経過は良好で術後3週間で退院し,現在は外来にて観察中である.S状結腸の穿孔から腹腔内遊離ガス,後腹膜,縦隔,皮下気腫を同時に認めた症例の報告は,今までに無い
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