発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012013948
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62歳女。心窩部痛の出現で近医にて胃癌と診断され入院となった。圧痛はなく腫瘤も触知せず、血液、生化学、腫瘍マーカーに異常は認めなかった。上腹部正中切開で開腹したところ、肝下面に20年前の胆摘の影響による強固な癒着を認めた。M領域小彎前壁に母指頭大の腫瘍を触知し、幽門側胃切除術、Roux-en-Y再建を行い、癒着のため十二指腸断端部にPenroseドレーンを留置した。第7病日の発熱、ドレーン排液の混濁に抗生物質を投与したが著変はなく、その後ドレーン排液が消化液様に変化し、第26病日のCTで十二指腸断端周囲にfluidの貯留を認め、十二指腸瘻と診断した。絶飲食、高カロリー輸液で管理し、ドレーンから500~800ml/日の排液および正中創離開部から滲出液を認め、ドレナージを続けたが著明な改善は認めなかった。第43病日のソマトスタチンアナログ(SMS)200μg/日の持続投与開始後よりドレーン排液量および正中創排液は減少し、300μg/日の増量でさらに減少し、第64病日の瘻孔造影でcavityは消失し正中創も閉鎖し、第99病日には十二指腸も造影されなくなりドレーンを抜去した。瘻孔閉鎖後1年6ヵ月現在、再燃の徴候は認めていない。
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