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症例1(月齢2、男児)。日齢8に腹部膨満と代謝性アシドーシスが出現し、腹部X線写真にて腸管壁内気腫を認め、壊死性腸炎と診断された。保存的治療にて改善をみるも、日齢66に顔色不良となり、腹部X線写真で腹腔内遊離ガスを認め、壊死性腸炎後の消化管穿孔と診断された。緊急開腹術にて回腸末端から横行結腸右側を切除し、口側の断端を創右側に、肛門側の断端を創左側に固定し、開腹創内分離式腸瘻を造設したところ、術後7日目に口側腸瘻右側の開腹創より排膿がみられ、創し開を認めた。し開部に便が入り込むため、腸瘻の管理には難渋したが、連日の創部洗浄などの処置を行った結果、術後21日目でし開部の完全上皮化が得られた。以後、術後91日目に腸瘻閉鎖術を行い、経過は良好である。症例2(月齢1、男児)。日齢39に腹部膨満と血圧低下が出現し、当院のNICUに搬送された。腹部X線写真で拡張した小腸ガス像を認め、また腹部超音波検査で広範囲に小腸に強い壁肥厚を認めたことから、壊死性腸炎と診断され、緊急開腹術が行われた。手術はできるだけ腸管を保存するためTreitz靱帯より32cmの空腸で切離し、次いで上行結腸にも穿孔を認めたため結腸肝彎曲を切離した。そして、口側の空腸断端は創左側に、肛門側の結腸断端は創右側に固定し、開腹創内分離式腸瘻を造設した。しかし、術後5日目に温存腸管の穿孔を認め、再開腹にて空腸を追加切除した。初回手術と同様に開腹創内分離式腸瘻を造設したが、再手術後4日目に口側腸瘻右側に創し開が出現し、7日目には創部が全層性にし開して腸管が露出し、腹壁の縫合閉鎖が行われた。以後も腸瘻部の腸管壁に生じた穿孔に対して瘻孔閉鎖が行われるも、瘻孔閉鎖後10日目には縫合不全を合併した。保存的管理を継続したが、最終的に患児は中心静脈カテーテル感染による敗血症性ショックや肝機能障害、消化管出血を繰り返し、日齢308に死亡となった。
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