発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012013947
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78歳女。半年前頃より体重減少を認め、嚥下困難も自覚するようになり、近医を受診し、食道内腔に突出する腫瘍性病変を指摘され紹介となった。上部消化管内視鏡所見で、門歯から25~31cmに食道内腔を占居する表面不整な隆起性病変を認めた。腫瘍生検では、扁平上皮癌のほかに、放射状または紡錘状細胞(AE1/AE3陽性、一部vimentin陽性)の増殖が認められ、癌肉腫が疑われた。上部消化管超音波内視鏡では、腫瘍は外膜まで到達し胸部中部食道リンパ節転移が疑われた。上部消化管造影で食道Mt~Ltに縦径6cmの表面凹凸の隆起性病変が内腔を占拠し、CTでは胸部食道に内部不均一な腫瘍を認め、左心房と下行大動脈の明らかな浸潤は認めないが、左主気管支周囲や気管分枝部リンパ節は腫大していた。胸腔鏡下・腹腔鏡補助下に食道亜全摘、3領域リンパ節郭清、頸部食道胃管吻合(後縦隔経路)を施行した。食道に二個の亜有茎性隆起を認め、周囲粘膜にLugol不染領域が広がり、隆起基部はヨード不染帯が連続していた。病理所見より、肉腫様成分の紡錘形腫瘍細胞と扁平上皮癌成分の異型上皮細胞が混在し一部に移行像を認め、AE1/AE3染色陽性、SMA染色陽性、desminおよび神経系抗体S-100陰性でcarcinosarcomaと診断した。術後3ヵ月に胸膜、腹膜に再発をきたしdoctaxel hydrate療法を行ったが、術後6ヵ月に死亡した。
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