発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015167446
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83歳女性。前医で腹壁瘢痕ヘルニアと胆石症に対してComposix Kugel Patch(CKP)を用いたヘルニア修復術と胆嚢摘出術が施行された既往があった。今回、このCKP留置部の違和感と皮膚の発赤を認め、1ヵ月後には同部位より膿が流出し皮膚瘻を形成した。更に1年後には便汁の流出も認められたが、患者が高齢であり、手術を希望しないため経過観察となっていた。しかし、4ヵ月経過で瘻孔周囲の皮膚のびらんほか、疼痛が強くなり、QOLの低下がみられるようになったことから、加療目的で著者らの施設へ紹介となった。腹部造影CTを行なったところ、右下腹部腹壁において内部にairを含む腫瘤がみられ、腫瘤には横行結腸と小腸が近接していた。また、前医で瘻孔周囲の皮膚保護のため装着したパウチは皮膚の段差で完全に保護できていなかった。以後、絶食による保存療法で瘻孔周囲のびらんは軽快したものの、瘻孔の閉鎖はできず手術の施行となった。術中所見では変形したCKPに小腸が癒着していたためCKPの除去後に瘻孔部の小腸を切除して機能的端々吻合で再建した。更に術後併発の創感染の改善をみて、局所陰圧閉鎖療法を施行することで、患者は退院となった。
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