発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011167769
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
69歳男。上行結腸癌(中分化腺癌)で結腸右半切除術、D2郭清、術後化学療法を施行され、術後8年目の健診で肝機能障害を指摘され、精査で肝嚢胞と左肺底部の腫瘤が発見された。胸腹部CTで左肺下葉S9、S10末梢に25×20mmの腫瘤があり、広範な胸膜嵌入を認め、PET-CTでは左肺底部の腫瘤にSUVmax 4.2の集積を認めた。擦過細胞診はclass V、経気管支肺生検では中分化腺癌であった。肺悪性腫瘍(原発性肺癌)を疑い手術施行し、胸腔鏡による観察で胸水、播種はなく、左肺下葉の肺底部に腫瘤を確認し、胸腔鏡補助下左下葉切除術を行った。術中迅速組織診断で大腸癌肺転移が示唆されたが、原発性肺癌との鑑別は困難で、縦隔リンパ節郭清を施行した。切除標本の病理組織所見は核小体と円形の核を有する両染性の細胞質を有する円柱状の異型細胞が腺管形成を示し、免疫染色ではTTF-1陰性、Muc2陰性、CK20陽性、CA19-9陽性で、大腸癌肺転移と診断された。術後経過良好で第15病日に退院し、3ヵ月経過現在、再発徴候は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011