発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011167768
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19歳女。気分不快で前医を受診し、大量の下血を呈したため造影CTを行い、小腸内に造影剤漏出を認めた。小腸出血の診断で救急搬送され、搬入後直ちに血管造影検査を行い、第2、第3空腸動脈領域に造影剤のpoolingを認め、出血点と判断した。下血の継続と高度の貧血があり、循環動態の安定を図る目的で第2、第3空腸動脈末梢枝に塞栓コイルを用いて経動脈的血管塞栓術(TAE)を施行した。次いで緊急開腹術を施行し、空腸から結腸内に黒色内容物を多量に認め、TAE施行領域では小腸の虚血性変化を認めた。空腸部分切除を施行し、手術を終了した。病理組織所見で切除小腸の輪状ひだの頂部には血餅が付着していた。直下の輪状ひだ内は直径700μm大の動脈で占められ、頂部では約1mm長の粘膜が欠損し、動脈は破綻していた。周囲の粘膜層の高さは徐々に低くなっており、U1~2程度の潰瘍があったと考えられ、Dieulafoy潰瘍と診断した。術後経過良好で8日目に退院し、3年経過現在も再出血は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011