発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008008062
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
58歳男。患者は検診で胸部異常陰影を指摘され、胸部CTでは右上葉の結節を認めた。確定診断目的に胸腔鏡補助下右上葉部分切除を施行したところ、迅速病理診断にて腺癌を認めた。そのため、胸腔鏡補助下右上葉切除+縦隔リンパ節郭清術(ND2a)を施行したところ、経過は順調で術後8日目に退院となった。しかし、術後12日目の午後に突然呼吸困難と立ちくらみが出現、所見では胸部単純X線像で著明な右胸水を認めた。胸腔ドレーンを挿入したところ、血餅を伴った血性胸水の流出がみられ、胸腔内出血と診断された。緊急開胸術を施行した結果、右前胸部第2肋間の内胸動脈から出血が確認され、出血点前後の動脈にEndo Clipをかけて止血し得えた。以後、初回手術から19日目に患者は退院となった。尚、その他の症例において自動縫合器による葉間形成を行なったところ、右上葉切離断端のステープルが内胸動脈直上の胸膜に引っかかっている所見が偶然観察され、本症例も同様の機序で出血を来したものと推察された。
©Nankodo Co., Ltd., 2007