発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012184037
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症例は82歳男性で、検診の胸部異常陰影の精査を主訴とした。腫瘍マーカーCEAの軽度上昇を認め、高分解能CTで左肺S3胸膜直下に境界明瞭、辺縁凹凸のある、内部均一な非石灰化充実性結節が認められた。気管支鏡では可視範囲内に異常所見はなく、生検で腺癌を疑う異型細胞の集塊が認められた。免疫染色でPASとAE1/AE3が陽性、TTF-1とp63が陰性を示した。胸腔鏡下に左肺上葉切除リンパ節郭清ND2a-1を施行した。病理所見で腫瘍は細長い核をもつ高円柱細胞から成り、充実胞巣構造、癒合腺管構造をとって、胎児肺の腺管に類似する管腔を形成しながら増殖していた。腺腔内外には壊死が目立った。核の大小不同は比較的軽度で核小体も小さかった。免疫染色でPAS、TTF-1、AFP、p53、CD56、シナプトフィジン、クロモグラニンAが陽性を示した。以上より、高悪性度胎児型腺癌、病期pT2N0M0、病理病期IB期と診断した。術後3ヵ月の現在、再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011