発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006210157
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73歳男.3ヵ月前の検診で右肺腫瘤影を指摘された.胸部CTで右肺S4に境界が比較的明瞭な5.0×4.0cmの腫瘤影を認め,肺生検で低分化型腺癌と診断した.リンパ節転移や遠隔転移は認めず,開胸術を施行した.腫瘍は右肺S4を中心に存在し,肺葉からS3へ直接浸潤していた.胸膜播種,胸水貯留,肺内転移などは認めず,右中葉切除および上葉部分切除,ND2aリンパ節郭清を施行した.病理組織所見で腫瘍の80%は腺癌が占め,低分化型腺癌から高分化型乳頭状腺癌まで多彩な像を呈した.残り20%は紡錘細胞癌を主体とする肉腫様部分で,EMA陽性より腺癌が変化したと考えた.pT2N0M0,IB期の多形癌と診断した.順調に経過していたが,術後30病日頃より微熱と全身倦怠感が出現した.軽快しないため全身検索を行ったところ,左前胸部の皮膚,肝,両側副腎,左横隔膜・後腹膜に転移を認めた.その後癌性胸膜炎と癌性腹膜炎を発症し,全身状態が急速に悪化して術後60日に死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2006