発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012356923
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血管合併切除によって完全切除できた胸腺癌3症例を報告した。症例1は70歳代女。嗄声を主訴とした。根治的放射線化学療法を施行後、腫瘍が残存したため手術を行った。弓部大動脈に浸潤する腫瘍であったが、低体温・一側脳分離灌流・下半身循環停止下で弓部大動脈部分切除・人工血管パッチ再建を行って完全切除が可能となった。症例2は50歳代女性で、胸部X線上の異常陰影を主訴とした。左腕頭静脈浸潤に対し、左腕頭静脈部分切除・心膜パッチ再建を行って完全切除した。症例3は30歳代男性で胸部X線上の異常陰影を主訴とした。上大静脈に浸潤する腫瘍に対して、術中に人工血管で一時的な左鎖骨下静脈-右心耳バイパスを作成し、上大静脈を遮断して上大静脈部分切除・心膜パッチ再建を行うことで完全切除できた。症例1は術後7ヵ月で遠隔転移し、13ヵ月で原病死した。症例2、3はそれぞれ術後補助化学療法を施行し、術後3年2ヵ月、1年3ヵ月、無再発生存中であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012