発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010199015
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
71歳男。自転車での転倒以降めまいが続くため近医を受診した。胸部異常陰影で当科紹介受診した。CTにて縦隔腫瘍を認め、精査加療目的入院となった。胸部X線で左肺門部に腫瘤影を認め、CTで前縦隔に左肺動脈、左肺上葉に接する内部不均一な腫瘤影を認めた。CTガイド下腫瘍生検で神経内分泌系の分化を示す癌腫と診断され、外科的切除を行った。胸骨正中切開でアプローチした。腫瘍は胸腺左上極から左下極に存在し、心嚢および左肺上葉に浸潤を認めた。前方からの操作が困難なため左後側方第5肋間で開胸し、縦隔腫瘍と胸腺を摘出し、浸潤を認めた心嚢および左肺上葉の一部を合併切除した。腫瘍の割面は白色調充実性で一部に壊死、出血を認めた。病理所見は神経内分泌細胞への分化を示す胸腺癌で臨床病期IIIと診断した。術後放射線照射を行い、術後5年の現在、再発は認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010