発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014204298
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55歳男。血痰を主訴とし、CTで前縦隔右側に5.2cm大、内部にやや不均一な造影効果を示す腫瘤影を認めた。腫瘤と肺との境界は不明瞭で、浸潤が疑われた。また、腫瘤により右房は圧排されていた。胸腺癌あるいは浸潤性胸腺腫(正岡分類stage III)を疑い手術を施行し、胸骨正中切開でアプローチし、腫瘍を含めた胸腺摘出術および縦隔リンパ節郭清術を行った。腫瘍は右肺上中葉、右横隔神経および胸膜に浸潤しており、en blocに完全切除した。病理組織検査で異型の強い小型の核で好酸性の比較的大きな細胞質を有する腫瘍細胞を認め、高倍率10視野あたり17個の核分裂像、壊死像も認めた。免疫染色ではchromogranin、CD56の巣状発現、synaptophysin、CD5のびまん性発現を認めた。以上より胸腺原発の大細胞神経内分泌癌と診断し、また上部気管傍リンパ節への転移(正岡分類stage IVb)も認めた。術後経過は良好で、補助化学療法を行い、術後10ヵ月経過の現在、無再発生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2014