発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012356918
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37歳男。検診で胸部異常陰影を指摘された。X線で右第1弓の突出を認めた。胸部CTで前縦隔に表面平滑で内部均一な腫瘤影を認めた。針生検でカルチノイドと診断されたため、全身検索を施行した。FDG-PETでは腫瘍にSUVmax 6.8の集積を、また、左下副甲状腺に一致してSUVmax 2.5の集積を認めた。CTでも左下副甲状腺の腫大を認めた。脳MRIでは最大径14mmの下垂体腫瘍を認めた。多発内分泌型腫瘍1型(MEN-1)を疑い、内分泌検査を行い、副甲状腺機能亢進症、下垂体腺腫と診断した。MEN-1に合併した胸腺カルチノイドと診断し、同時手術で副甲状腺全摘、胸腺摘除とリンパ節郭清を施行した。病理組織学的所見で類円形の核を有する腫瘍細胞が索状、ロゼット状に配列していた。壊死巣を認め、非定型カルチノイドと診断した。術後15ヵ月を経過し、カルチノイドの再発は認めていなかった。後日、血液からの遺伝子解析により、MEN-1遺伝子変異が示された。
©Nankodo Co., Ltd., 2012