発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012318845
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症例は83歳男性で、朝の排便後の意識障害で救急搬送された。X線で著明な縦隔拡大を認め、CTで6mm厚の壁外血腫を伴う60mmの弓部大動脈瘤と全周性にCT値の高い心嚢液貯留が認められた。心タンポナーデを伴う遠位弓部大動脈瘤破裂と診断し入院となった。急速輸液で意識は改善し、心嚢穿刺で425mlの血性心嚢液流出があり、濃厚赤血球で循環動態は安定した。発症2日後に家族の希望で手術を行った。人工血管で右総頸動脈-左総頸動脈-左鎖骨下動脈バイパス術を行い、右大腿動脈より胸部大動脈ステントグラフトをzone 0~4まで留置し、同時に右総頸動脈からchimneyグラフトを上行大動脈から腕頭動脈末梢まで留置した。人工呼吸器管理と非侵襲的陽圧換気による呼吸補助を行った。右上肢の運動麻痺が出現し、MRIで左内頸動脈狭窄と中大脳動脈領域のアテローム塞栓症が認められた。人工呼吸器離脱後にリハビリを開始し、経口摂取と歩行が可能となった44病日にリハビリ目的で転院した。
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