臨床経験
胸部大動脈瘤破裂に対する治療6年後に発生したステントグラフト破損
石垣 隆弘
1
,
松田 均
,
川崎 竜太
,
邉見 宗一郎
,
中井 秀和
,
泉 聡
,
松森 正術
,
村上 博久
,
本多 祐
,
吉田 正人
,
向原 伸彦
1兵庫県立姫路循環器病センター 心臓血管外科
キーワード:
ステント
,
大動脈破裂
,
人工器官機能不全
,
大動脈瘤-胸部
,
三次元イメージング
,
エンドリーク
,
ステントグラフト内挿術
,
胸部CT
Keyword:
Aortic Rupture
,
Prosthesis Failure
,
Stents
,
Aortic Aneurysm, Thoracic
,
Imaging, Three-Dimensional
,
Endoleak
pp.407-411
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017264344
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症例は76歳男性で、70歳時に近位下行大動脈瘤破裂に対してMatsui-Kitamura stent-graft(MKSG)を用いた胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を施行した。術後大動脈造影でエンドリークはなく、半年後に外来通院を自己中断した。術後6年目に意識消失発作が出現した。造影CTでtype Iaエンドリークを伴った胸部大動脈瘤の拡大を認めた。胸部CTで、左鎖骨下動脈の中枢側は閉塞し、左椎骨動脈が発達していた。大動脈瘤径は76mmに拡大し、内骨格構造のMKSGのステントとグラフトの間だけでなく、グラフトの外側にも造影剤の貯留を認めた。MKSGの中枢側のステントは引き延ばされ、後壁側の3個が10mm程度瘤内に移動していた。グラフト中枢側のステントとグラフトの固定が破綻したことでグラフトが大彎側に翻転し、エンドリークが出現したと考え、手術を施行した。術後経過は良好で5日目に施行した造影CTでエンドリークを認めず、15日目に退院した。半年後のCTで、エンドリークや瘤の拡大を認めなかった。
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