発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012318846
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症例は68歳女性で、拡張型心筋症で循環器内科通院中であった。徐々に労作時呼吸苦が増強し、階段昇降不能となって入院した。心電図で不完全左脚ブロックを認め、QRS幅は120msであった。心エコーでは心室内および両心室非同期収縮、僧帽弁逆流(MR)と三尖弁逆流(TR)ともIII度を認め、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は740pg/mlであった。両心室ペーシングで中隔-後壁間壁運動遅延とMRの改善を認め、心臓再同期治療除細動器導入でMR、TRともII度に改善し、BNPは332pg/mlに減少した。以後3年間外来経過観察で徐々に労作時呼吸苦と心エコー上MR、TRの増悪を認め、手術目的に再入院した。術中所見で僧帽弁前尖の荒廃が著しく、両弁尖温存僧帽弁置換術を行い、三尖弁はDeVega法にて弁輪を25mmに縫縮した。術後経過は良好で労作時呼吸苦は消失し、自宅階段も1階から3階までの昇降に不都合はなくなり、BNPも281pg/mlに下降した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012