発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007228159
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43歳男性。突然意識を消失し搬送された。脳波所見として認知機能低下、構成失行があり、血管造影所見より腕頭動脈および左総頸動脈起始部に動脈瘤が形成され、この瘤により本幹は圧迫され狭窄をきたしていた。手術所見ではこの解離性動脈瘤とは別に、腕頭動脈から右総頸動脈にかけて半周にわたる解離が存在し、さらに左総頸動脈には解離の既往がうかがわれた。弓部大動脈壁の一部を含め、腕頭動脈、左総頸動脈を末梢側方向へ3cm切除し、脳分離体外循環下にHemashield人工血管にて置換した。切除標本所見にて腕頭動脈と左総頸動脈分岐部の弓部大動脈壁に限局性解離が生じ、両血管の末梢側に進展し解離性動脈瘤を形成していた。瘤内には血栓が充満していた。一方、腕頭動脈末梢側には別の動脈解離を認めた。切除標本の病理組織学的検索にて、動脈硬化や血管炎、中膜変性所見はみられなかった。術後は認知機能も改善し、現在外来にて経過観察中である。解離が限局し、なおかつ弓部分枝起始部に解離性動脈瘤を形成する症例は非常に稀であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007