発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250135
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症例は脳梗塞の既往がある67歳男性で、下顎の痛みを自覚し意識消失しているところを発見され、救急搬送入院となった。入院後、救急外来で心室頻拍・心室細動をきたして電気的除細動を10回施行、急性心筋梗塞による心原性ショックと判断して大動脈内バルーンパンピング挿入後に緊急冠動脈造影を施行、99%狭窄の左主幹部と左前下行枝近位部にステントを留置した。留置後血圧は上昇したがValsalva洞に造影剤の異常貯留を認め、CT所見から偽腔開存型DeBakey分類I型動脈解離の診断にて緊急開胸手術となった。術中所見では上行大動脈置換術を施行、エントリーは上行大動脈遠位部小彎に存在し、中枢側解離は左Valsalva洞へ進展しており、手術時間6時間1分、循環停止時間42分であった。術後のEFは術前の30%から44%に改善し、第15病日に人工呼吸管理から離脱、第40病日に一般病棟に転床となり、その後リハビリテーション病院に転院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010