発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007100278
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64歳男。テレビ観賞中に突然胸痛が出現し、救急搬送された翌日CTにて急性A型大動脈解離を認め転院入院となった。胸部X線は心胸郭比(CTR)58%と心拡大を認め、上縦隔野拡大と肺うっ血も認めた。心電図は洞調律で心拍数は92/分で明らかなST-T変化を認めなかった。心エコーは軽度な大動脈弁逆流と少量の心嚢液貯瘤を認めた。胸部CTは上行大動脈から両側総腸骨動脈にいたる大動脈解離を認め偽腔は血栓化しており同日緊急手術を施行した。胸骨正中切開により心膜を切開すると凝血塊を伴った血性心嚢液を認めた。大動脈基部は無冠洞へ右冠洞にかけて解離しており偽腔には血栓を認めた。冠状動脈の再建は解離した冠状動脈入口部を姑息的に固定修復する手技は再建後に出血した場合、止血操作で狭窄となる可能性から入口部を閉鎖し大伏在静脈でバイパスする方針とした。さらに大動脈基部は大動脈弁自体が正常であったため自己弁を温存し、右冠洞のみを再建するpartial remodelingを選択した。術後は心筋虚血もなく心エコー上、大動脈弁閉鎖不全も認めない。
©Nankodo Co., Ltd., 2006