急性大動脈解離の外科治療
心筋虚血を伴ったStanford A型急性大動脈解離
中井 真尚
1
,
山崎 文郎
,
三岡 博
,
三浦 友二郎
,
寺井 恭彦
,
後藤 新之介
,
水野 裕介
,
宮野 雄太
,
田中 宏和
,
川口 保彦
,
川口 信司
1静岡市立静岡病院 心臓血管外科
キーワード:
血管造影
,
心電図
,
大動脈瘤
,
動脈瘤-解離性
,
冠状動脈バイパス術
,
経食道心エコー図
,
心筋虚血
,
大動脈置換術
Keyword:
Aortic Aneurysm
,
Coronary Artery Bypass
,
Aneurysm, Dissecting
,
Angiography
,
Electrocardiography
,
Myocardial Ischemia
,
Echocardiography, Transesophageal
pp.292-297
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016224000
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著者らが人工血管置換術を行ったStanford A型急性大動脈解離のうち、術前心電図変化があった症例、または冠状動脈バイパス術(CABG)を必要とした40例について検討した。その結果、1)術前心筋虚血症状を示したのは27例で、残りの13例は心電図で壁運動に問題を認めなかった。2)心電図変化のなかった13例は血行再建が必要であった。内訳は再CABGが2例、次いで術前CAGで偶然みつかった冠状動脈末梢病変へのステント留置が2例、冠状動脈入口部の動脈形成が2例、右冠状動脈引き抜けに対する大伏在静脈-右冠状動脈バイパスが5例ほか、人工心肺離脱時に新たに心筋虚血を生じ大伏在静脈-右冠状動脈バイパスを必要とした2例であった。尚、この13例中、2例が死亡していた。3)術前心電図変化を伴った27例では、うち11例に冠状動脈再建が施行されたが、全例左+右冠状動脈症例で死亡例は3例であった。残る16例は冠状動脈に解離がなく血行再建不要であったが、手術所見からNeri分類のA型と推測されるのは4例だけであった。
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