発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010071372
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78歳男。患者は1992年に大動脈解離(DA:DeBakey分類IIIa型)発症し、内科的加療で経過良好であったが、1996年に他院で腹部大動脈瘤に対しYグラフト置換術を受けた。この時、冠状動脈造影で有意に狭窄はみられなかった。その後、2003年にDA( DeBakey分類I型)が発症し、緊急手術が施行されたが、2006年には心不全で再入院となり、遠位側吻合部仮性動脈瘤と大動脈弁閉鎖不全が指摘された。治療は高齢をはじめ低心機能、慢性腎不全のリスクがあり、内科的治療を受けていたが、2008年には仮性大動脈瘤が拡大して破裂の可能性が高く、局所播種性血管内凝固症候群(DIC)の合併も考えられたため手術となった。術中所見では遠位側吻合部の一部離開がみられ、近位部の血管壁が脆弱であったことから、術式はBentall手術+半弓部大動脈置換術が選択された。その結果、術後の血液検査ではFigは正常化し、Dダイマーが一過性に上昇したものの、3ヵ月後には術前の半分程度まで低下し、DICスコアも3点まで改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2009