発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250134
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2003~2006年に5年間に心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)施行前に上腕動脈-左右足関節間の脈波伝播速度(baPWV)を測定した90症例(男性68例、女性22例、45~84歳・平均69.1±10.0歳)を対象に虚血性心疾患の重症度と術後合併症の関連について検討した。その結果、全例の平均baPWV値は同年齢層正常群と比べ有意に高値であり、男女とも年齢と共にbaPWV値が有意に右上がりの上昇を示した。心血管疾患や動脈硬化危険因子のない正常血圧者のPWV値を基準に各例との比を算出(PWV比)したところ、男女とも1.0以上でありPWV比の値は年齢による右上がりは認めずこの補正は適正と判断した。年齢別術前併存症別のbaPWV比では腎機能障害で高い傾向を示し、冠動脈病変別のbaPWV比では1枝病変+左主幹部のみ高い傾向を認めた。以上より、baPWV値・PWV値比はCABG手術時における重症度判定の指標となり、周術期合併症を含めた手術成績の向上に寄与する可能性が示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2010