発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250136
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症例は75歳男性で、左脳出血・食道癌・S状結腸癌・陳旧性心筋梗塞の既往があった。食道癌術後経過観察中の胸部CTにて肺結節陰影を指摘され経過観察されていたが、次第に肺結節の増大を認め精査加療目的で入院となった。過去のCT画像所見との比較では肺結節影は空洞性病変に変化し、空洞外側にも結節が出現し空洞・結節共に増大傾向を認め、胸腔鏡下左肺S1+2部分切除を施行した。切除標本の病理組織学的所見では、腫瘍は3.6×2.3×1.3cm大で境界はやや不明瞭で胸膜陥入を伴い、1.8cm大の嚢胞に加え1.0cm大や0.5cm大の嚢胞が多数観察された。腫瘍の大部分は腺腔構造明瞭な大小の腺房からなる腺癌で、1.8cm大の嚢胞壁に実質には細気管支肺上皮癌を認め、免疫染色所見から肺多形癌(pT2N0M0・病理病期IB)と診断された。術後経過は良好で合併症もなく、第8病日に退院となり、術後4ヵ月経過の現在、再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010