発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006153683
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60歳女.胸背部痛が出現し,De Bakey分類IIIb型急性大動脈解離の診断で降圧療法を行っていたが,発症後19日に再度胸背部痛を来たした.CTでIIIb型の大動脈解離を認め,上行・弓部大動脈にも解離を認めた.開胸術を施行し,体外循環停止,逆行性脳灌流下に大動脈内を観察したところ,弓部小彎側に内膜亀裂を認めた.遠位部は左鎖骨下動脈分岐直後で解離腔は盲端となっており,前回発症の解離腔との連続性は認めなかった.4分枝付き人工血管を用いてまず弓部分岐より再建し,その後人工血管より弓部分岐の灌流を再開した.遠位大動脈部はフェルトをあてがい断端形成を行った後,5cmのelephant trunkとして人工血管を下行大動脈に留置し,吻合した.次にその人工血管と弓部用人工血管を吻合し,下半身の灌流も再開した.中枢側はgelatin-resorcin-formaldehydeグルーを用いて閉鎖し,断端形成後に人工血管と吻合した.術後経過良好で,第21病日に軽快退院した
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