発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006210165
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93歳女.胸背部痛が出現し,次第に増強してショック状態となった.CTで上行大動脈から腕頭動脈に及ぶ血栓閉塞型の解離を認め,最大径は50mmであった.緊急開胸術を行い,心嚢内には多量の血性心嚢液の貯留を認めた.大腿動脈送血,右房脱血で体外循環を開始し,心筋保護下に心停止とした.解離は両側冠状動脈入口部直上まで認め,同部位で大動脈を離断し,中枢側偽腔閉鎖にはgelatin-resorcin-formaldehydeグルーおよび内側と外側にフェルトを用いた.Entryは上行大動脈末梢側に認め,これより末梢側で大動脈を離断し,中枢側と同様の断端形成を行って28mm Hemashield Gold人工血管を吻合した.体外循環を再開し,復温を開始しつつ中枢側吻合を行った.総手術時間245分,体外循環時間109分,大動脈遮断時間61分であった.術後経過は良好で,第34病日にリハビリテーション目的で転院した.術後半年経過し,入浴時に介助を要する他は術前とほぼ同様の生活を送っている
©Nankodo Co., Ltd., 2006