発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004211509
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52歳男.夜半突然心窩部痛が出現,救急受診し,原因不明の急性腹症と診断された.入院時,心窩部痛,悪心を訴え,嘔吐した.胸腹部CTで上行大動脈から腹部大動脈まで広範囲に解離し,真腔が血栓化した偽腔に圧排され著明に狭小化していた.腹腔動脈と上腸間膜動脈,腎動脈は真腔から起始していたが,一部造影が不良であった.発症後20時間に手術を行った.まず,右腋窩-右大腿動脈間に10mm Gelsoft ERS graftを用いてバイパスを作成した.低体温循環停止とし上行・弓部大動脈内腔を検索したが内膜亀裂を認めず,III型逆行解離と考えられた.逆行性脳灌流を併用し,24mm Hemashield Gold graftを用いて上行大動脈置換術を行った.術後2日にCK 1635U/l,AST 1850U/l,ALT 1734U/lまで上昇したが以後漸減し,腹部膨満も改善した.術後30日のCTで血栓化していた偽腔が再疎通し,腹腔動脈,上腸間膜動脈ともに良好に造影され,右腋窩-右大腿動脈間のバイパスグラフトは開存していた.弓部大動脈の最大横径が45mmであり,経過観察することとし術後44日に独歩退院した
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