発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010199014
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71歳女。早朝、突然の腰背部痛を自覚し救急外来を受診をした。胸部X線で心拡大と上縦隔陰影の拡大を認め、造影CTで弓部から胸部下行大動脈に血栓閉塞型急性大動脈解離を、弓部大動脈と肺動脈間に縦隔内血腫および左鎖骨下動脈分岐部の弓部大動脈に石灰化を認めた。以上より、Stanford B型、血栓閉塞型の急性大動脈解離と診断して同日緊急手術を施行した。胸骨正中切開、心膜縦切開で漿液性の心嚢液を中等量認め、大動脈切開にて左鎖骨下動脈対側の弓部大動脈小彎側内膜に横軸方向の亀裂と、それと連続した外膜に破裂孔を認めた。外膜側より内膜が見え、内膜がチェックバルブとなり止血されていた。特発性胸部大動脈破裂と診断してArch first technique法、逆行性脳灌流で脳保護を行い、上行弓部大動脈人工血管置換術を施行した。術後10日のCTで人工血管吻合部を確認し大動脈解離所見は認めず、術後22日に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010