急性大動脈解離の外科治療
臓器虚血 急性A型大動脈解離の治療戦略 腸管虚血への対応
山崎 文郎
1
,
島本 光臣
,
中井 真尚
,
藤田 章二
,
升本 英利
,
糸永 竜也
,
野村 亮太
1静岡市立静岡病院 心臓血管外科
キーワード:
虚血
,
術後合併症
,
大動脈瘤
,
腸疾患
,
動脈瘤-解離性
,
脳循環
,
後向き研究
,
人工血管移植
,
緊急手術
,
小腸切除
,
逆行性脳灌流
Keyword:
Aortic Aneurysm
,
Cerebrovascular Circulation
,
Aneurysm, Dissecting
,
Intestinal Diseases
,
Ischemia
,
Postoperative Complications
,
Retrospective Studies
,
Blood Vessel Prosthesis Implantation
pp.309-314
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007205502
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腸管虚血を来した急性A型大動脈解離について検討した。1)急性A型大動脈解離134例に緊急手術を行い、術後に腸管虚血を来したM群11例(男性8例、女性3例、平均58.1歳)と来さなかったC群123例(男性71例、女性52例、平均62.8歳)に分け、腸管虚血を引き起こした危険因子を調べた。その結果、M群ではC群に比べ術前の臓器虚血が上腸間膜動脈(SMA、36.4% vs 0%)および下肢(54.5% vs 14.6%)で有意に多く、病院死亡(81.8% vs 10.6%)、術後30日以内死亡(63.6% vs 4.9%)が有意に多かった。2)高リスク症例(術前に下肢虚血がある症例、SMAの狭窄・閉塞がある症例、SMAが偽腔より起始する症例)に対し上行または弓部置換術後に開腹し、更に腸管の血流低下にはSMAに非解剖学的バイパスを置く治療方針が行なわれた。これを急性A型大動脈解離28例(男性10例、女性18例、平均66.6歳)中6例(21.4%)に施行したところ、全例、術後腸管壊死を来さず回復することができた。尚、生存退院は5例あり、残り1例は術後81日目に胸部下行の遺残解離破裂で死亡となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007