発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006153682
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53歳女.検診の胸部X線で右中肺野の結節影を指摘された.胸部CTで右房内に径3cm,表面平滑で内部に石灰化を伴う腫瘤を認め,右肺S6には径5mmで辺縁明瞭,内部均一な小結節を認めた.更に腹部CTでは胆嚢底部に腫瘤形成を認めた.開腹胆嚢摘出術を行い,胆嚢底部に4×2.5×1.5cmの腫瘤を認め,乳頭状腺癌,T1N2M0,III期で,完全切除した.その4週間後に右房腫瘤切除術,肺生検を行った.大動脈遮断心停止として右房を切開し,卵円窩より尾側の心房中隔から,長さ2mm,径7mmの茎を有する30×30mmの腫瘤を認めた.これを茎の辺縁から5mm離して心房中隔ごと切除した.欠損孔を4-0ポリプロピレン糸連続縫合で直接閉鎖した.人工心肺離脱後,右肺S6の腫瘤を部分切除した.病理組織学的に右房内腫瘤は袋状の構造で,内部に漿液性で黄色の液体を蓄えていた.液体中には小石灰化片が浮遊し,嚢胞壁は血管内皮細胞から成っていた.肺の結節は肺内リンパ節であった.術後経過良好で,第11病日に軽快退院した
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