発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005190849
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当科における血栓閉塞型A型急性大動脈解離の治療方針を検討した.手術適応は,心タンポナーデ合併例,ulcer-like projection(ULP)合併例,上行大動脈径50mm以上の症例とした.A型急性大動脈解離例52例のうち15例(28.8%)が血栓閉塞型で,発症後急性期に6例には緊急手術を行い(手術群),9例には保存療法を施行した(保存療法群).急性期保存療法群のうち,心嚢液が増加した1例,上行大動脈径が増大した1例は急性期に手術を必要とした.残り7例は,入院中に解離関係のイベントを認めず,良好に経過した.また,この7例の発症後1ヵ月の偽腔占拠率は有意に低下した.急性期手術群は,上行置換術7例,上行弓部置換術1例で,選択的脳灌流を5例に,逆行性脳灌流を3例に施行した.術後合併症として小脳梗塞を1例,右室梗塞を1例認めたが,手術死亡はなかった.平均追跡期間24.3ヵ月で,全例生存中である.血栓閉塞型A型急性大動脈解離に対する保存治療,手術療法の成績はともに良好であり,上記の手術適応に年齢・社会的適応を加えた治療方針が成績の向上につながると思われた
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