発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004140237
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1998年3月~2002年5月に経験した急性A型大動脈解離(AAD)46例を対象とし,AADに対する治療戦略を検討した.血栓閉塞型急性大動脈解離(TAD)10例,脳のmalperfusionを合併した3例,その他2例は保存的治療を選択した.TAD9症例中8例の治療成績は良好で追跡期間中の再解離を認めなかったが,脳のmalperfusionを合併した3例中2例が死亡し,このような症例では保存的または待機的手術が望ましいと考えられた.一方,保存的治療から変更した1例を含む計32例に対して外科的治療を施行した結果,術後に右脳の広範囲梗塞を認めた1例(3.1%)が病院死亡となった他は全例退院となった.ULP合併のないTADでは保存的治療が第1選択と考えられ,1cm未満のULPを伴うTADであってもULPが上行~遠位弓部大動脈に存在する場合には緊急手術を考慮する必要があるが,解離腔の血行残存が下行大動脈末梢に限局する場合では保存的治療が可能であると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004