発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011060410
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73歳男。労作時胸部苦悶感を主訴とした。経胸壁心エコー検査で中等度~重度の大動脈弁閉鎖不全症が発見され、冠状動脈造影所見では#3 75%、#4右冠状動脈後下行枝75%、#6 50%、#7 75%であった。大動脈弁置換術と冠状動脈バイパス術(CABG)を行い、手術終了時の経食道心エコーに大動脈解離を疑う所見はなく、患者自身にも自覚症状はなかったが、術後10日目の冠状動脈バイパス造影CTで上行から弓部までの大動脈解離を認め、Stanford A型急性大動脈解離と診断した。患者側の納得に時間を要し、再手術の時期の判断に難渋したが、術後22日目に上行大動脈置換術を行い、術後出血を最少化する方針でheparin投与前の癒着剥離を慎重に行った後、大腿動静脈より体外循環を確立して成功裏に手術を終了した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010