発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004140238
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症例1(65歳女).交通事故にて外傷性くも膜下出血を来たし,その加療中,急激に頻呼吸,血圧低下を呈した.胸部単純X線にて左胸腔内に胃泡陰影を認め,胸部CTにて左胸腔内への胃泡侵入が観察された.開腹時,横隔膜の裂孔部より胃,肝左葉外側区域が左胸腔内に逸脱,嵌頓していた.症例2(60歳女).1995年10月交通事故のため,右鎖骨,肋骨,恥骨などを骨折した.2001年9月胆嚢結石にて入院し,胸部単純X線,腹部CTにて右横隔膜の挙上,肝の右胸腔内への偏位を指摘されていたが,症状や術前の検査異常はなく,腹腔鏡下胆嚢摘除術施行時に肝右葉の横隔膜方向への陥入が観察された.2例は遅発性に発症した外傷性横隔膜ヘルニアと診断され,開腹して陥入臓器の還納,横隔膜欠損部の直接閉鎖を行い,術後は軽快退院した.胸腹部外傷患者に対しては常に外傷性横隔膜ヘルニアを念頭に置き,その後の経過観察を怠らないことが肝要と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004