連載 作業療法を深める・第52回
持続可能な開発目標(SDGs)が目指すもの—誰一人取り残さない世界を目指すための17の目標
三浦 宏子
1
Hiroko Miura
1
1北海道医療大学歯学部保健衛生学分野
pp.376-380
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202473
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は,2015年9月の国連サミットにおいて採択された2030年までの全世界に共通の目標である.これまでの国連ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)が開発途上国のみの達成目標であったのに対して,SDGsでは対象国を国連に加盟するすべての国・地域としており,その対象には先進国も含まれる.そのため,日本も2030年までに,SDGsで掲げる諸目標を達成する責務を負っている.
SDGsでは17目標と169ターゲットに及ぶ目標を設定し(図 1),保健衛生のみならず教育,環境,格差是正,持続可能な生産等の多様な目標を掲げている(図 2).実施体制においても,公的機関のみならず民間組織を包含する多様なステークホルダーが相互連携して,活動を進めている.SDGsは世界のすべての人々に共通する「普遍性」と,多くのステークホルダーが協調して取り組む「包摂性」を特色とし,最終的には社会システムの変革を目指すものともいえる.
日本国内でも,SDGsの認知度は年々高くなっており,2020年(令和2年)3月に朝日新聞が行った調査において,SDGsという言葉を聞いたことがあると回答した者は32.9%に達する等,広く周知がなされているところである.そして,SDGsはすべての医療職にも深くかかわる概念である.本稿では,SDGsの総論として基礎的な事項について解説を行い,SDGsに対する理解の向上を図ることを目的とする.
Copyright © 2021, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.