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はじめに
2015年9月に米国・ニューヨークの国際連合(以下,国連)本部で「国連持続可能な開発サミット」が開催された.サミットには150を超える国の首脳が参加し,その成果文書として「われわれの世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(Transforming our world:the 2030 Agenda for Sustainable Development)が採択された1).この文書には,2030年に向けて,地球規模での持続可能な開発に関する17の目標と169のターゲット項目が定められている.これが「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)である.
SDGsの前身に当たる国連の「ミレニアム開発目標」(Millennium Development Goals:MDGs)が発展途上国向けの開発目標であったのに対し,SDGsは先進国,発展途上国を問わず,全ての国連加盟国が取り組むべき目標である.またMDGsは貧困と飢餓の撲滅に重点を置いた8つの目標であったが,SDGsは持続可能な開発を目指す17のより包括的な目標となっている1).
経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development:OECD)ではSDGsの実現に向けた取り組みを支援するため,2016年に「SDGsに関するOECD行動計画」を策定した2).その一環として,SDGsの実現には,国レベルだけでなく都市・地域レベルの取り組みが重要な役割を果たすべきという認識に基づいて,2018年7月の国連ハイレベル政策フォーラムにおいて,OECDプログラム「SDGsへの地域的アプローチ」3)(以下,地域的アプローチ)を立ち上げた.
本稿では,地域的アプローチの必要性と意義について論じた後,その参加都市・地域による取り組みを紹介する.本稿が地域の公衆衛生の推進に向けた示唆となれば幸いである.
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