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はじめに
前号の「持続可能な開発目標(SDGs)が目指すもの」では,SDGsを理解するための基本事項を示した1).本稿では,SDGsにおける「障害」に対する具体的なプログラムやアプローチ方法について報告する.前号がSDGs基礎編とするならば,本稿はSDGs応用編と位置づけられる.
前号でも言及したように,SDGsの17目標のすべてに「障害」に関する記載があるわけではない.「障害」という用語が明記されているのは,目標4「教育」,目標8「経済成長と雇用」,目標10「不平等」,目標11「持続可能な都市」,目標17「実施手段」の5つのみである.また,目標3「健康・福祉」でのユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)はリハを含む医療提供体制に関するものであり,間接的に「障害」にかかわるものである.
国連は,SDGsにおける障害の位置づけを“Disability-Inclusive”を切り口とし,わかりやすく説明している(図).併せて,「2030年を心に描こう—障害者のために世界を変える17の目標(Envision 2030:17 goals transform the world for persons with disabilities)」キャンペーンを展開し,障害者対策とSDGsの親和性について周知を図っている2).国連だけでなく,日本においても“Disability-Inclusive”のコンセプトに基づく先駆的な取り組みが始まっている.誰一人取り残さない社会の実現のため,すべての国連加盟国がそれぞれ具体的な目標を掲げ,SDGs達成を図ることを目指している.また,SDGsに関係する活動は,公的機関だけでなく,民間企業やNGO/NPO等,多くのステークホルダーを包含するかたちで展開することで,さらに効果的に推進できる.
本稿では,各企業・団体で行われているSDGs推進活動の好事例から,障害者を対象としたプログラムをいくつか紹介する.また,地域リハとSDGsとの関連性についても概説し,SDGsの観点からみた障害者へのリハについて考察する.
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