編集後記

　本号の原稿を読ませていただいて，とても充実した気持ちになっている．筆者，企画者すべてに感謝したい．ぜひ，本誌を手に取って隅々まで読いでいただくとともに，多くの方にご紹介いただきたい．

　特集「認知症最前線」についてもたくさんの思いが頭の中を駆け巡った．25年前，認知症ケア（当時は痴呆ケア）を学ぼうとしたとき，「ご本人の周りに日用品等を置くと誤飲し危険なので，すべて取り払って，かかわりながら必要なときにお渡しするんです」と殺風景な施設内を“熱心に”案内されたことを思い出した．当時，宅老所，小規模多機能ケア，重度認知症デイケア，ユニットケア等，先駆的な実践が始まっていたことは後で知ったのだが，違和感を感じながらも，その“熱心な”説明に納得してしまった自分が今となっては恥ずかしい．