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編集後記
長野 敏宏
pp.1132
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203978
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認知症基本法が施行された.「認知症と生きる本人」を主体として創られた初めての法律だと考えている.これを機に,これまでは主に「社会の立場」,「介護・支援する立場」からの制度・政策であったことを再確認し,これからの認知症ケアのあり方,その中での作業療法士の役割を捉え直したい.この大きな転換期において,本号の特集は,とても意義深いものとなった.ゲストエディター,ご寄稿くださった先生方に感謝したい.自身も,一つひとつの実践の意味,言葉の意味を何度も読み直し,捉え直し,体得し,現場・現実とのギャップを埋め続けたい.
日本の認知症ケアは,数多くの多様・多彩な当事者,さまざまな支援の実践,医学を含む多分野における研究,また社会の関心の高まり等から,黎明期,成長期を経て,ようやく成熟期に入ろうとしている.医療専門職としても,「医学モデルを基礎とした認知症の理解が,その人の人生にとってベストの選択なのか」,「支援・介護が本当に個別性をもって提供できているのか」,「“本人が中心”であることを理念通り貫く努力は続けられているのか」そして「今,自分自身は安心して,少なくとも過剰な不安なしに認知症になることができるのか」,点検すべきことは多岐にわたる.
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