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1.Long-term outcomes of resynchronization-defibrillation for heart failure. N Engl J Med 2024;390:212-20. PMID:38231622
研究デザイン│多施設二重盲検RCT
背景・目的│Resynchronization-Defibrillation for Ambulatory Heart Failure Trial(RAFT)では,植込み型除細動器(ICD)による治療を受けた患者よりも,心臓再同期療法(CRT)を受けた患者のほうが5年後の死亡率に関して高い有効性が示された。しかし,CRTが長期生存に及ぼす影響はわかっていない。CRTの死亡率についての長期アウトカムをより理解するために,参加施設のうち最も登録数の多かった8施設の患者の長期生存アウトカムを解析する。
対象│左室駆出率が30%以下,固有QRS幅が120msec以上(またはペーシングされたQRS幅が200msec以上),NYHAクラスⅡまたはⅢの心不全患者。当初はNYHAクラスⅢの心不全も組み入れられたが,ガイドラインの変更に伴い2006年2月からは除外され,NYHAクラスⅡのみとなった(8施設,2003年1月〜2009年2月)。
介入・方法│RAFTに組み入れられた患者のうち参加者が多かった8施設の患者を,ICD群とCRTの機能を合わせもつCRT-D群に1:1の割合で無作為に割り付けた(隠蔽化あり,中央割付,患者-治療者盲検,不整脈チーム非盲検)。施設,心房リズム,植え込み予定のICDの種類(単腔,二腔)により層別化。
プライマリアウトカム│全原因死亡(ITT解析)
結果│1,798例が登録され,そのうち1,050例が長期生存試験に組み入れられた。1,050例の追跡期間中央値は7.7(IQR 3.9〜12.8)年,生存した患者の追跡期間中央値は13.9(同12.8〜15.7)年であった。死亡はICD群で530例中405例(76.4%),CRT-D群で520例中370例(71.2%)に認められた。死亡までの期間はCRT-D群のほうがICD群よりも長かった(加速係数0.80,95%CI 0.69〜0.92,p=0.002)。副次アウトカムイベント(全原因死亡,心臓移植,植込み型補助人工心臓植込み術からなる複合アウトカム)はICD群で412例(77.7%),CRT-D群で392例(75.4%)に発生した。
結論│左室駆出率が低下し,QRS幅延長を認めたNYHAクラスⅡまたはⅢの心不全患者において,ICDと比較したCRT-Dの生存期間延長効果は,中央値約14年間の追跡期間中,維持されるようであった。
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