特集 輸血のすべて
Part 3 特殊な状況での輸血
【コラム⑩】宗教的理由による輸血拒否—絶対的無輸血か,相対的無輸血か:まずは施設の方針を決めておく
野村 悠
1
Yu NOMURA
1
1川崎市立多摩病院 救急災害医療センター
pp.176-184
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120010176
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宗教的理由による輸血拒否への対応は,2008年に発表された『宗教的輸血拒否に関するガイドライン』1)が基本となる。このガイドラインでは,輸血が必要となる可能性がある患者を,18歳以上,15歳以上18歳未満,15歳未満の三段階に分け,医療に関する判断能力と親権者の態度に応じた対応が整理されている。ガイドラインを運用するにあたり,各医療機関はまず「絶対的無輸血」か「相対的無輸血」のどちらの方針を貫くか明確にするとともに,施設全体でコンセンサスを得て対応することが望まれる2)。
本稿ではガイドラインの基本的な考え方をもとに,宗教的理由により輸血拒否する患者への対応とその背景について整理する。
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