FOCUS
【当事者とのトークセッション】薬物依存症女性の母子支援を考える
上岡 陽江
1
1ダルク女性ハウス
pp.692-696
発行日 2015年8月10日
Published Date 2015/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200232
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ダルク女性ハウスは,1991(平成3)年に誕生した,薬物・アルコール依存症女性の回復と自立を支援するNPO法人です。精神障害者福祉ホームとデイケアを,当事者の女性たちが中心になって運営しています。2013(平成25)年には障害者自立支援法の生活訓練施設として認定されました。
また,2004(平成16)年から「子どもプログラム」を開始し,依存症の女性とその子どもへの支援(表1)を行っています。ダルク女性ハウスにつながる女性たちの多くは,幼少期からの虐待や,親の離婚・再婚,近親者の自殺などを経験しており,その大多数がシングルマザーです。子育ての不安や困難を1人で背負って疲れ切り,薬物の再使用や児童虐待の危険性を抱えています。
そうした女性たちと出会い,話を聞く中で,地域における「保健師さん」の介入の意味に気づかされる瞬間が何度かありました。保健師さんにとっては効果が見えず空しく思える介入でも,当事者にとっては大きな意味をもっていることを知ってほしい,そんな思いで,本稿では昨年開催した当事者Sさんとのトークセッションから,保健師さんとの関わりについて語られた内容を中心に紹介します。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.